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桜が咲かなくなる?

少し足踏みしたものの、今年も福岡の桜は開花が早く、ほとんどが満開になりそう。新型コロナが少し落ち着き久しぶりにお花見でもと思っていたが、うかうかしていると散り始めてしまいそうだ。

昔は入学式に花を添えていた桜だが、今や卒業式で見ごろに。その主な原因は、地球温暖化や都市化で気温が上がったため。ソメイヨシノ開花の平年日を福岡で見ると、1990年代は3月28日だったが、今や22日。なんと全国で一番早くなっている。今年は惜しく(?)も東京などに先を越されたものの、去年はやはり全国一早い開花だった。

このまま、春の気温が上がり続ければ、バレンタインデーに開花なんてことも?

実は、さにあらず。逆に開花が遅れ、さらには咲かなくなると危惧されているのだ。桜の開花には、ツボミを眠りから覚ます寒さが必要で、暖かいだけだと開花が遅れたり、咲かなくなったりしてしまうのだ。鹿児島の開花平年日が3月26日と九州で一番遅く、沖縄でソメイヨシノが咲かないのもそのため。

温暖化や都市化への対策を怠ると、福岡でもソメイヨシノが咲かなくなり、見るために北に旅しなければならなくなるかも。開花に寒さと暖かさが必要な桜は四季がある日本ならではの花なのです。

龍山康朗=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2023年3月25日掲載

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龍山康朗